この疑問はシンプルですが単純ではありませんね。
歌の上手さとはなんだろう
歌手の持ち味や上手さは人それぞれです。
どういう歌手が上手いか、という基準はありません。強いて言えば、あなたの好きな歌手が良い歌手です。どんなものでも、楽曲でも歌手でも、あるいは食べ物でも、あなたが好きなものには必ず正当な理由があります。
その理由を探したり、他人に説明する必要はありません。それが大好きであればある程、好きな理由が自分でもよく分からないものです。
例えば歌手なら、素晴らしいと感じさせてくれる歌手には何かしら優れた部分があって、それがあなたの感性にグッと来るのでしょう。
歌ってみて気付いたりする
これだけですと抽象的な話で終わってしまうので、少しだけ専門的な解説をしましょう。
プロ歌手が余裕の表情でスイスイ歌っている姿を見ると「なんだか楽しそう。ちょっと真似して歌ってみようかな」と思ったりするものですね。ところがその人の歌を自分で歌ってみると、あまりの難しさにまるで歯が立たず、初めてそのハードルの高さに気付くという事があります。
優れた音楽家というものは(もちろん歌手も)演奏しながら自身が楽曲と同化してしまうので、自然すぎてテクニカルな面が目立たない事が多いのです。「この曲すごい好き。この歌手も好き」と人に思わせられる歌手は、実は隠れテクニシャンだったりします。
歌が上手くなりたい人なら
あなたはプロ歌手を目指している志望者で、誰かお手本となるような上手い歌手を探していますか?
それなら、今あなたがそこそこ上手いと思える歌手たちのインタービュー記事などを調べて、彼等が影響を受けた歌手、つまりあなたにとって二世代、三世代前の歌手にさかのぼって、その巨匠たちの歌を聴いてみてはどうでしょうか?
年代にしてだいたい四、五十年前ですね。その時代の音楽や歌手は今の音楽のベースとなっているので、それほど古臭いと感じる事もないでしょう。
その時代は楽器の編成もシンプルで、アコースティック楽器(生ピアノや生ギターなど)が今よりも多く使われていました。ボーカルもまたアコースティック楽器なので、こうした編成の中で水を得た魚のように、リアルな感情表現を聴かせてくれた歌手が大勢います。
その直球ストレートな感情表現に触れる事が、プロ志望の方には良い刺激になるかも知れません。
楽曲やアレンジが素晴らしいものや、歌の録音がリアルで歌手の声をよく捉えている音源を探してみる事にも価値があると思われます。